孤独のお片付け

夫の祖母の家の片付けを楽しんでいる様子をつづる日記

【1人空き家片付け10日目】寄付という発想の欠如

空き家の片付け10日目。
お邪魔してまずは仏壇にご挨拶。
不審者ではありませんからどうぞご安心ください。


いつもの装備を終えたら作業開始。



自宅である本を読んでいる最中だった。
文脈に現れる内容ではないが、
突如頭に浮かんだのだった。
「空き家でかき集めたものたちを寄付しよう」


今まで考えつかなかったのが愚かだ。
山積みになったゴミ袋の中には、
まだまだ使えるものがたくさんある。
タグも外されず新品のまま眠っていた服や小物だってある。


あとは廃棄するだけ
というところまで整ったこの袋の山を崩すのは尻込みするが、
廃棄することしか頭になかった自分の責任。
自分を戒めて袋の口を解きはじめた。



掘り起こして一つひとつを改めてよく見ると
捨てるには惜しいものばかり。
「なぜちゃんと見なかったんだ」
猛省した。




子どもの頃、自分が寄付した靴が実際に使われているのを見たことがある。
あの時の嬉しさで満たされた心と目にした光景は
今でも忘れていない。


だからなんだという感じだが、
譲り受ける側も
譲る側にも
作り手にも
地球にも良いってことだ。



【1人空き家片付け9日目】夫へ空家片付けのプレゼンテーション

空き家の片付け9日目。
お邪魔してまずは仏壇にご挨拶。
不審者ではありませんからどうぞご安心くださいね。


いつもの装備を終えたら作業開始。



今日は私の背を超える高さまで積み上がった空箱と
段ボールを潰す作業だ。


ひたすら踏みつぶしながら
先日の夫へのプレゼンテーションを思い返していた。



ここ最近の夫は仕事で疲れ切っている。
夕食を済ませた後はお風呂も入らずにソファで寝落ちし、
休みの日は家から動く気配がない。
体力も気力もギリギリのようで、倒れないか心配だ。


そんな夫に空家作業を一緒にどうかと勧めてみた。
鞭を打つようだが、もちろんそうではない。


この作業は体にも心にも良い。
体を適度に動かすことで作業後には心地良い疲労感があり、
物で埋め尽くされた部屋が広がっていく様子を目の当たりにすることで
解放感に包まれる。
衛生的とは言えない環境での作業ではあるものの、
心身のリフレッシュに最適だと私は思っている。


家も綺麗になって、身も心も整って、一石三鳥ではないか。


という提案を試みたが、夫が動くことはなかった。
よほど疲れているのか、私のプレゼンが良くないのか。


引き続き、コツコツと進めていこう。


【1人空き家片付け8日目】南部鉄器の発掘と錆落とし

空き家の片付け8日目。
お邪魔してまずは仏壇にご挨拶。
不審者ではありませんからどうぞご安心くださいね。


いつもの装備を終えたら作業開始。



部屋の隅からひっぱりだした埃まみれの箱の中には、
何やら風格のある鉄瓶が入っていた。


底面の錆がひどく
化粧箱の底に貼り付いてしまって紙まで赤褐色になり
錆なのか紙なのか判別できない状態。


そんなひどい有り様だが、
底面以外は新品同様の麗しさがあり
これが一流の品であることは間違いないだろう。
同封の案内書らしき紙には「南部鉄器検査証」「本場 盛岡」との記載。


それがどれだけの価値を意味するかは
帰宅後に知ることになる。


鉄瓶の錆の落とし方について調べてみると、
外側の錆には椿油が良いとわかった。
椿油は持ち合わせていないため、
取り急ぎオリーブオイルを布にたっぷりと染み込ませて磨いていく。


ポロポロと錆が剥がれ、
次第に大きい錆もボロッと落ちて何とか原型らしき形にまで戻すことができた。
次は椿油でやってみよう。


早くもこの鉄瓶で沸かした白湯やお茶を飲むのが楽しみになっている。
鉄瓶で沸かした白湯には鉄分が含まれるそうだ。
ケトルで沸かした白湯を飲むよりも健康的でありがたい。



【1人空き家片付け7日目】ゴミの分別が少し詳しくなった

空き家の片付け7日目。
お邪魔してまずは仏壇にご挨拶。
不審者ではありませんからどうぞご安心ください。


買ったまま花瓶にぶっさしただけの仏壇の花を
義母が良い感じに生けてくださった。
まるで違う花のようだ。生花できる人がやるとこうも変わるんだな。
いつか手ほどきをお願いしよう。


いつもの装備を終えて作業開始。



この作業を通して良かったと思うことは、
ゴミの分別の知識が増えたことだ。
廃棄した経験がない&自分の家には無いものだらけで、
作業中は分別がわからないことがしばしば。


廃棄の仕方を調べた中でも特に驚いたのが
「使い捨てカイロ」は「燃えないゴミ」であること。
日常的に使っているものだから
何となく燃えるゴミだと思い込んでいたが。


その他にも意外だったのが
・カセットテープ
・まな板
は燃えるゴミで出せる。

※ゴミの分別は自治体によって異なる


不適切なゴミの分別は、収集や焼却の過程で事故を招きかねない
ということを肝に銘じて
引き続きやっていこう。



【1人空き家片付け6日目】家の中に箱を増やしてはいけない

空き家の片付け6日目。
お邪魔してまずは仏壇にご挨拶。
不審者ではないですよーという気持ちを込めて。


マスク2枚、メガネ、手袋を装着。と今日からより埃の侵入を防ぐべく手拭いで顔を覆う。VoicyをON。
ルーティンを終えたら作業開始。



この家は、収納箪笥をはじめダンボールやらお菓子の缶箱やら
物を納める箱がやたらと多い。


物が増えるたびに箱を用意したり箱を持ちすぎると
どんどん物が増えていくもの。
蓋がされれば不要になっても気づきにくい。
「収納」というのは「隠す」と似ているな。


収納箱は最小限が大切だと学んだ。


【1人空き家片付け5日目】昔の人はすごいって話

空き家の片付け5日目。
いつものようにお邪魔してまずは仏壇にご挨拶。
不審者ではないですよーという気持ちを込めて。

いつものように、マスク2枚、メガネ、手袋を装着。VoicyをON。
衣装部屋へ向かう。


目に飛び込んできた惨状にうなだれる。
なんか・・・片付け始める前の状態よりもひどくないか?
片付けの進め方がおかしいのか
片付けの過程というものはこんなものなのか。


まぁ、どちらにしてもそのうち効率的なやり方を見つけ出せるだろう。


今日も心を無にし、果物を収穫するがごとく物をゴミ袋に集めていく。



おっと、何だかお宝が入っていそうな箱だ・・・
期待に膨らむ胸と生唾が流れ出るのを抑えて、いざ!蓋オープン


布の端切れ
大量の裁縫道具
領収書
写真とか


中身はもちろんお宝ではないのである。


この作業の中でよくあることだ。
空き家掃除を通して、物たちとともに
自分の欲にまみれた性格も綺麗になることを切に願う。



しかし、こんなにも大量の端切れや裁縫道具、
布の裁ち方が書かれた手帳なんかを見ると
昔の人は自分の手で作っていたことがわかる。


何でも完成したものを手に入れられる時代に生まれ、
ボタンすら付け替えられるか怪しい自分にとっては
自分の手で衣服を仕立てるなぞ神の領域。


「すごいよなぁ」誰かと共感し合いたい。


ちなみに私は、
衣食住を自らの手で生み出せるスキルが最強だと思っている。
どんな時代や環境の中でも生きていけるだろうから。



今日も劇的な速さでゴミ袋が山積みになった。


【1人空き家片付け4日目】掘り出し物でテンション上がる

空き家の片付け4回目。3日もあけてしまった。
お邪魔してまずは仏壇にご挨拶。不審者ではないですよーという気持ちを込めて。


前回仏壇の花を変えてからこの3日間気にはなっていたが、
案の定枯れている花がある。
仏様ご先祖様、放置して申し訳ありません。



さて、やるか。
マスク2枚、メガネ、新しく買ったちょっぴり頑丈な手袋を装着。VoicyをON。


前回から新たに衣装部屋の作業に移った。
洋服と和服がわんさかある。


さぁ、今日も心を無にして仕分けよう。
衣装ケース代りになっている仕立て屋の箱の中から
服たちを無惨にひっぱり出す。
出しても出しても出てくる。


おっ、可愛い。これはいただこう。


空き家作業の楽しみ「掘り出し物」。
最近の私のお出かけ用の服は、ここで得た夫の祖母の服。
縦も横も同じなのではないかと思うほど、ぴったりなのだ。
そして、ちょっぴりレトロな雰囲気で
年齢や時代をとわない私好みのデザイン。


おかげで最近は服を買わずに済んでおり、とても助かっている。


学生の頃はバイト代が入っては服を買い
ファッションに相当お金を注ぎ込んだが、
大金をかけたにも関わらず何一つ残っていない。
年齢や流行に合わせて取っ替え引っ替えするよりも
長く着られるとっておきの一着を持つ方が良いと
今はそう考えるようになった。


衣類と小物だけでゆうに数百はあるだろう。
今日も劇的な早さでゴミ袋がなくなっていく。



この部屋は広い。まだまだ先は長そうだ。